統計からみるバイク事故

バイク事故の概況

(1)全国のバイク事故統計

 警察庁交通局の発表した交通事故統計によると、2024年中に全国で発生した自動二輪車(バイク)事故の死傷者数は2万2710件となっており、2023年の統計値から約4%減となりました。10年前の2014年と比べると約37%減となっており、全体的な傾向としては減少傾向にあると言ってよいと思います。
 年齢別で分析すると、20~24歳が2903件と最も多く、次いで50~54歳が2649件、45歳~49歳が2346件となっています。成人を迎えたころの若者が最も多く、そこから飛んで、40後半~50前半の中年が多いというのが特徴的です。
 時間帯で分析すると、夜間において発生したバイク事故の死傷者数が7699件であるのに対し、昼間における死傷者数は1万5011件となっております。このように、昼間における死傷者数が倍近くとなっていますが、15歳~19歳ではこれが逆転しており、夜間における死傷者数が多いのが特徴的です。

(2)沖縄県のバイク統計

沖縄県内でも、2024年の県内交通事故死者数は38人で、そのうち二輪車(原動機付自転車を含む)乗車中の死者数は約★人で26%を占めており、全国平均と比べバイク事故の死亡者数の割合が高く、事故件数自体も全国平均を上回っている状況です。

沖縄県のバイク事故の特徴

沖縄県では、二輪車事故の発生率が全国平均を上回っています。特に、飲酒運転や夜間事故の割合が高く、若年層の事故率も全国平均を大幅に上回っています。

  • 通行目的別:通勤途中(出勤・退勤)の事故が全体の52.6%を占め、過去5年平均でも45.5%と高い割合を示しています。
  • 発生月別:2024年は5月の発生が最も多く、過去5年平均では7月と11月が多くなっています。
  • 発生時間帯別:夜間の事故率が高く、特に20歳代の若年層が多く事故に巻き込まれているという結果が出ています。
  • 事故類型別:単独事故が14件で最も多く、過去5年平均ではバイク事故のうち単独事故が32.8%を占めています。
  • 致命傷部位:2024年は胸部の致命傷が42.1%で最多となり、過去5年平均では頭部が44.9%で最も高くなっています。

沖縄県のバイク事故の動向

  • 件数の推移:2024年の二輪車による事故件数は5,940件で、2015年からの減少傾向が続いています。
  • 致死率の推移:二輪車事故の致死率は1.64%で、前年よりわずかに減少しました。
  • 年齢層別:20歳代の若年層が多く事故に巻き込まれ、50歳代も高い割合を示しています。

ドライバーが心がけるべき対策

  • 速度コントロール
     交差点やカーブ手前では法定速度を厳守し、速度を抑えることが重要です。沖縄県では夜間の事故率が高いため、特に夜間走行時は速度を控えめにすることを心がける必要があると言えます。路面の状況(湿潤等)にも注意が必要です。
  • 右折車への警戒
     交差点進入時には「相手が急に右折してくるかも?」と常に警戒し、強引に進入してくる右折車がいても衝突を回避できるような速度を維持することが重要です。
  • すり抜けのリスク認識
     渋滞時や赤信号時のすり抜けは、交差道路を直進する車両や対向道路からの右折車などとの衝突リスクがあることを十分認識しておく必要があります。
  • ヘルメットの正しい着装
     ヘルメットの着用は頭部を保護し、事故時の被害を抑えるうえで極めて重要な役割を果たします。特に若年者では、ヘルメットを着用していない、着用していても正しい装着ができていないケースがあります。フルフェイスヘルメットを着用し、あご紐をしっかり締めて脱落を防ぐことが重要です。
  • プロテクターの使用
     ヘルメットと同様に胸部や腹部を保護するプロテクターを装着することも、致命傷リスクを低減するものとして重要です。
  • 視認性の向上
     反射材付きウェアを着用し、ヘッドライトを常時点灯して、他の車両から見えやすくすることも重要です。
  • バイクの点検整備
     基本的なことですが、日常的にバイクの点検を行い、ブレーキやタイヤの状態を確認しておくことも重要です。

 これらの対策を心がけることで、バイク事故のリスクを低減し、重傷(死亡)に至ることを回避できます。

バイク事故で起きがちなトラブル事例

治療費の打ち切り

 バイク事故では生身の身体で衝撃にさらされることから、重傷を負うケースが多く長期の治療を要するケースが多いです。しかし、ある日突然、保険会社から治療費の支払いを一方的に打ち切られるということがあります。なぜこのようなことが行われるかといいますと、これは保険会社が「症状固定」(これ以上の改善が見込めない状態)に至ったと判断したからです。
 損害賠償実務上、被害者の怪我が症状固定に至った場合には、ごく例外を除いて、保険会社にはそれ以降の治療費を支払う義務がなくなります。治療費の打ち切りは保険会社がこのような判断をしたことにより行われるものなのです。車両同士の事故で軽傷の場合には、通常治療も短期間で終わりますから治療費の打ち切りが問題となることは多くないですが、バイク事故のような長期の治療を要するケースでは、治療費の打ち切りが問題となるケースは少なくありません。
 治療費の打ち切りは「症状固定」時期の問題になりますが、この点については、「こんな場合どうしたらいい?-治療費を打ち切ると言われた」にて詳細に解説しておりますので、ぜひご一読ください。

休業補償の打ち切り

 同様に、バイク事故では重傷に至るケースが多いため、仕事も長期間の休業を余儀なくされることも少なくありません。損害賠償金の支払いは、示談による損害賠償額の確定をもって支払いが行われるのが基本ですが、休業による損害(収入の喪失)は生活に直結するものですから、保険会社から示談前に内払いが行われることが多いです、例えば、会社員の場合には、会社から休業損害証明書を発行してもらい、これを保険会社に提出することで、休業補償の内払いを受けることができます。しかし、ある日突然、保険会社から休業補償の内払いを一方的に打ち切られるということがあります。
 なぜこのようなことが行われるかといいますと、これは保険会社が休業の必要性・相当性が認められないと判断したからです(要は、もう働ける状態に至ったと判断したからです)。車両同士の事故で軽傷の場合には、通常休業も短期間で終わり(またはそもそも休業が発生しない)ますから、休業補償の打ち切りが問題となることは多くないですが、バイク事故のような長期の休業を要するケースでは、休業補償の打ち切りが問題となるケースは少なくありません。
 休業補償の打ち切りは休業の必要性・相当性の問題になりますが、この点については、「こんな場合どうしたらいい?-休業補償を打ち切ると言われた」にて詳細に解説しておりますので、ぜひご一読ください。

後遺障害等級の認定

 バイク事故では、開放骨折、高次脳機能障害や脊髄損傷など重傷に至るケースが多いため、完治に至らず後遺症が残ってしまうことも少なくありません。このような後遺症が残ってしまった場合の補償については、損害賠償実務上、自賠責保険会社による後遺障害等級認定手続の結果に基づいて行われる運用が基本となっています。
 したがって、いくら大きな後遺症が残ってしまったとしても、後遺障害等級が認定されない限り(あるいは、後遺症に見合った等級が認定されない限り)、適切な補償を受けることはできません。
 このように、重傷に至るケースの多いバイク事故では、後遺障害等級の認定が適切なものであるかが問題となるケースが多く、この点についての検証を行うことなく、保険会社と示談交渉を進めてしまうと、適切な補償額とはかけ離れた金額で示談に至ってしまうということもあるため、注意が必要です。
 後遺障害等級の認定は、医学も絡む複雑な問題であるため実績の豊富な弁護士に相談してみることは強くおすすめしますが、この点について、できる限りわかり易く解説した記事を作りましたので、こちらもご一読してみてください。

過失割合

1 保険会社の提示する過失割合を鵜呑みにしてはいけない

 バイク事故では、非接触事故、巻き込み事故、すり抜け事故や追越し事故などバイクの特性や運転環境に起因する特有の事故類型があります。このため、保険会社からバイク側の落ち度も大きいとして、納得感のない過失割合を提示されたとして、相談に来られる方も少なくありません。
 これはバイク事故に限りませんが、保険会社は事故相手の言い分をもとに割合を判断しているため、双方で認識に食い違いがあるケースなどでは、実際よりかなり不利な割合を提示されていることもあります。したがって、保険会社が提示した過失割合について、何の検証もすることなくこれを鵜呑みにすることはおススメしません。

2 過失割合はどうやって決まる?

 過失割合については、別冊判例タイムズ38(以下「判タ」と表記します)における過失相殺率の認定・判断基準により決められるのが基本となります。判タには、事故類型ごとの過失の基本割合と修正要素が解説されており、保険会社でもまずは「判タに当てはめて考えた場合にどうなるか?」という視点で過失の検討が行われます。
 ただ、実際の交通事故は多種多様で、必ずしもどの類型に当てはまるのか 一義的に明らかでない場合も少なくありません。また、個別の事情に応じて基本割合を修正する要素というものが定められていますが、これに当たはまるのかということも、一義的に明らかでない場合も少なくありません。
 当然、このような場合において保険会社は、自己に有利な方で判断して過失割合を提示してきます。

3 バイク事故特有の修正要素

  ①単車修正

  ②ヘルメット装着

バイク事故こそ弁護士に相談を

  このように、バイク事故では特に後遺障害等級の認定や過失割合などが問題となるケースが多いため、早い段階から弁護士に相談しておくことで、後遺障害等級も見据えた治療方針の検討、事故態様に関するドライブレコーダーや防犯カメラ映像などの証拠保全など必要な対策を打つことができます。これに加えバイク事故では、怪我の大きさから弁護士介入による損害賠償金の増額幅が大きく、弁護士費用を加味しても経済的メリットのあるケースが多いことも、早めに弁護士に相談した方がよい理由と言えます。